美大生と一緒にドキドキをデザイン!額装したくなるフリーペーパー「D-LAND PAPER」創刊&D-LANDロゴ完成記念イベント

D-LANDは、美大生の放課後活動拠点「D-LAND LOUNGE」をはじめ、美大生と一緒に世の中をドキドキさせて、社会にポジティブな変化をつくるようなプロジェクトに取り組んでいます。2018年11月16日に開催した、このイベントでは、「額装したくなる」というコンセプトで発行した美大生向けのフリーペーパー『D-LAND PAPER』の創刊号をお披露目しました。

『D-LAND PAPER』では、毎号ひとりのデザイナーをフィーチャーして、インタビューとポスターを掲載します。また、一冊の本を売る本屋「森岡書店銀座店」を営む森岡督行さん、移動映画館「キノ・イグルー」の有坂塁さん、美大出身でモデルの前田エマさんという3名のオリジナルコラムも合わせて掲載しました。

この日のイベントでは、創刊号でフィーチャーした株式会社オールライトの高田唯さんをお招きし、美大生や関係各所のみなさまと『D-LAND PAPER』の創刊をお祝いしました。

 

美大生と一緒につくるほうがより一層ハッピーだ

19時、D-LAND LOUNGEにケータリングした料理が並んだ頃、D-LAND代表の酒井博基の挨拶からこのイベントはスタートしました。

酒井 「本日は、みなさんにお越しいただき、とても感謝しています。今日はフリーペーパーの完成披露イベントなのですが、合わせて、D-LANDのロゴを発表する機会にもしたいと思っています。このロゴは、少し変わったつくりかたをしました。というのも、美大生12名や高田さんと一緒になってロゴをつくるプロジェクトにしたんですね。高田さんから、そのような話を持ちかけられた当初は、一体どうやってロゴをつくるつもりなのだろうと、不思議に思ったんですよ」

高田さん 「あはは。私がひとりでロゴをデザイン制作しても良かったんですが、せっかく美大生が集まる会社なので、美大生と一緒につくることができたほうが、よりハッピーだと感じました。酒井さんにとって、きっと一番喜んでもらえることだろうなと思って、はじめて取り組むやり方でしたから、うまくいくのかどうかドキドキしながら、まずはやってみましょうという気持ちでスタートしました」

酒井 「D-LANDのWebサイトの告知に応募してくれた美大生12名とロゴを制作していったんですよね。高田さんとは、10名いれば大丈夫だと話していたんですが、夜間に告知を投稿して、翌朝には10名以上の応募者が集まってしまいました。すぐに定員オーバーして、ビックリしましたよ」

高田さん 「一番遠方の美大生は、岡山県からきてくれましたよね。それで、美大生12名には、『ギリギリDに見える(見えない)カタチ』というお題を出して、それぞれで描いたラフスケッチを持ち寄りながら、初顔合わせを迎えました」

 

ドキドキのDをデザインできるように

<高田さんによる、出題テーマ「ギリギリDに見える(見えない)カタチ」の解説>
ギリギリを狙う理由は、見たことのない形に出会いたいからです。初めてのモノ・コト・カタチには「ドキドキ」や「?」が含まれます。その惹きつける力を「D」のカタチに宿らせたいです。「具体」はそのことをそのまま示すので理解はできますが、心に残りづらいと考えています。「抽象」は謎が残り、心に刻まれます。「こうかもしれない」という予測、想像が働き、解釈はそれぞれに委ねられます。ギリギリのところにこそ、そのカタチがあると考えています。

酒井 「この文章がすごくいいなと思いました。そして、美大生にそれぞれの『D』を発表してもらったあと、高田さんを交えて意見交換をして、後日、LINEグループでロゴ制作に向けたプロセスを踏んでいくことになったんですよね」

高田さん 「美大生12名との、そのLINEグループでのやりとりがすごくおもしろかったんですよ。ひとりずつプレゼンテーションをしてくれて、手描きでつくる美大生もいれば、モーショングラフィックスに仕上げてくれている美大生もいて」

酒井 「モーショングラフィックスにしていくという案は、まだ残っています」

高田さん 「まだ残っていますよね。当初は、LINEグループでプレゼンテーションしてもらったなかからひとつを選ぼうとしていたんですが、どれもいいアイデアだったので、美大生それぞれの魅力を立てることはできないかと思いはじめました。それで、美大生12名がみんなでつくったロゴになるように、新しくお題を出すことにしたんです。それが『自分らしいDを選ぶこと』でした」

酒井 「それで美大生12名が各々の好みに合わせて既存のフォントからDを提案していったんですよね。そのDをうまく活用して、D-LANDのDが意味する、『ドキドキ』と『デザイン』の両方を表すロゴを探ってくれました」

高田さん 「12名分のDが出そろったとき、どうにかして、みんなの想像を裏切るようなことをしたいと思いました。それで、Dの中にあるDに注目したんです。それを12名分集結させて、横に並べました。上・中・下、いかようにもそろえて使えるように意識して、モーションをつけることにも配慮しています」

酒井 「Dの内側を抜き出してくれたのは、ドキドキの中身、ドキドキの根っこという意味ですよね。ちなみに、このロゴ制作に関わってくれた美大生は今日、1、2、3……8名来ています。その美大生に、ささやかなプレゼントを用意しました。D-LANDに関わってくれた方々には、このように何か恩返しをしていきたいと思っています」

 

専門性を超えた魅力的なつながり

ロゴ制作に参加してくれた美大生には、『D-LAND PAPER』のポスターを額装してプレゼントしました。

酒井 「この『D-LAND PEPAR』は、額装したくなるフリーペーパーをコンセプトにしています。そして、印刷をお願いした藤原印刷さんにもたくさん協力してもらいました。どうしても印刷の仕様や紙質へのこだわりを持つことが後回しになりがちな現状がありますけど、美大生に印刷の魅力を知ってもらえるようにこだわりました。例えば、裁断で落ちてしまう可能性があるから、掲載物は一般的に5mm以内で納めるものですけど、1mmでギリギリを攻めるようなことをしていたり」

また、特色を豊富に使っていることも『D-LAND PAPER』の特徴です。

酒井 「6色の特色を使いました」

高田さん 「ポスターの面は4回も通しましたよね。紙は伸縮するけれど、湿度や温度によって、藤原印刷さんが調整してくれています。一般的には版ズレを起こしてしまうから避けることだけど、藤原印刷さんが見事に1mm単位で合わせて、印刷してくれました。重ねて刷ったものとそうでないものがあるので、違いをぜひ見比べてみてください」

酒井 「どれも、印刷の可能性を知ってもらうための挑戦です。藤原印刷さんからは、『大変ですよ』と言われていたのですが、どこか楽しそうな口ぶりでした。それだけ、藤原印刷さんも、印刷の可能性を美大生に伝えたいと思ってくれていたんですよね」

高田さん 「そんなふうに関係している、藤原印刷さんと酒井さんの間柄が素敵だと思いました。藤原印刷さんが挑戦にのってくれているのは、きっと酒井さんの日頃の行ないがいいからなんだろうと思ったんですね。そういうフリーペーパーだったので、デザインにたずさわることができて本望でした」

『D-LAND PAPER』では、毎号1名のデザイナーをフィーチャーした、インタビューとポスターを掲載することに加えて、そのデザイナーにデザインしてもらうということにも取り組んでいきます。

酒井 「少しお時間をいただいて、ここまで話してきましたが、やっぱり、美大生も高田さんも、一緒になって会話しているほうが楽しいですよね。だから、挨拶はこの辺までにしましょう」

こうしてお披露目されたD-LANDのロゴと『D-LAND PAPER』を眺めながら、美大生とプロのクリエイターが分け隔てなく、交流を楽しむ1日になりました。

酒井 「ここは、どの美術大学にいても関係ありません。ふだんの自分の専門性を超えて、つながりをつくりに来てくださいね」