第1回HAPPENINGS前夜祭レポート

6月22・23日(土・日)開催の芸術祭「HAPPENINGS(ハプニングス)」を控え、8つの部活が活動発表をした前夜祭の様子を紹介します。本番さながら、美大生の作品展示を観賞することができた1日です。

 

HAPPENINGSとは

美大生を中心としたクリエイターのインキュベーションに取り組む株式会社ディーランド主催の「美大生の部活動+芸術祭」プログラム。「やりたいことをやってみる」というコンセプトに、特別協力のBUKATSUDO(株式会社リビタ)をはじめ、12団体の協力を得て活動しています。

HAPENINGS公式サイト:https://www.happenings.jp/

このコンセプトには、素直なものづくりを最もシンプルにカタチづくるというメッセージを込めました。HAPPENINGSを通じて、次世代のクリエイターに“やってみたい”という刺激を与えることが目標です。2月にプログラム参加者を公募後、全国から集まった約60名の美大生が参加して、8つの部活動を発足。約3ヶ月の制作期間を経て、6月21日(金)に前夜祭を迎えました。

 

HAPPENINGS前夜祭の目的

会場になった、国分寺市のD-LAND LOUNGEには、翌日の本番を控え、午前から設営の最終確認をする部活メンバーたちの姿が。ランチタイムでは、みんなで同じメニューを食べつつ、笑顔で談笑しています。まるで、この3ヶ月間の活動に充実感を覚えていたことがうかがい知れる表情。午後から前夜祭がはじまり、部活メンバーの友達やHAPPENINGSのコンセプトに共感してくれている企業のみなさんが足を運んでくれました。

部活メンバーと来場者。部活メンバーは、会場や作品などを撮影して、芸術祭の発信にも力を入れた

会場のある国分寺市にデザインチームが戻ってきた日立製作所をはじめ、デザインやアートとつながりの深い企業関係者も来場

土日に足を運びにくい企業のみなさんにも、HAPPENINGSを見てもらう。それが前夜祭を催した目的のひとつです。部活のなかには、企業・団体の事業とコラボレーションによって実現した作品も発表されています。前夜祭では、各部活から活動内容の発表もありました。

 

HAPPENINGS部活リスト

来場者を前に、部活のテーマや芸術祭までのプロセスなどをメンバー自身が発表していきます。

 

【メディア表現部】Materia

Member
杉山裕太郎 / 龍田哲郎 / 山川敦史 / 泉悠也 / 末高彩乃 / 深治遼也 / 中根邦博

「ぼくたちは、インスタレーションやメディアアートに興味がある人たちが集まって、制作を行ないました。今回はビニールというテーマを設けて、それぞれ自分たちの身の回りにあるビニールで出来たものを集め、ビニールの定義や生活とどう結びついているかなど、深く考察することからはじめました。同時に、素材としてのビニールをどうすれば魅力的にできるのか検証していきました。

芸術祭の1ヶ月前から4作品の制作に移り、全体の雰囲気を統一して進めてきた作品は、3Fフロアで展示しています。メンバーは7人。主にデザイン系の学生が集まって、グラフィック・制作、全体ディレクション、制作補助という3グループに分かれて制作しました」

 

【野宿部】NO☆宿部

Member
佐々木和奏 / 一木麻由 / 加藤桃香 / 澤田瑞帆

「アウトドア用品を、100均や日用品など身近なもので自作して遊ぶ活動です。

身近なものではつくらないであろう道具を工夫してつくるワクワク感を楽しみたかったので、この部活をしました。小学校の時、コピー用紙とセロテープでミニチュアハウスをつくったり、ビニール袋をつなげてドレスをつくったりすることが楽しくて。中学、高校、大学に入るなかで、友人と遊ぶことがカフェやウィンドウショッピングだけになったり、会話も同じ内容になっているのを感じてきて、小学校の頃のように全力で遊ぶことを取り戻したかったんです。

今回は、ブルーシートと突っ張り棒でつくったテントで2泊3日の野宿をしてきました。3Fにその映像と、冊子やテントを展示しています」

 

【VR部】TRY NEWVIEW

Member
翁長宏多 / 末吉祐太 / 松本彩奈 / 項雅文 / 山野夏穂 / 小瀬木悠 / 酒井風

「ファッションやアート、カルチャーのVRコンテンツアワードに出展するためのVR空間をつくるというコンセプトで活動してきました。VRは、サウンドや空間、いろんな要素が組み合わさって生まれるもので、最近、注目を集めています。メンバーはみんなVRの知識ゼロ。プログラミングもなしで、3〜4週間で制作しました。頑張りつつ進めてきて、楽しみながらつくったんです。

顧問には、株式会社Psychic VR Labについてもらって、ワークショップができたことも楽しくて。いろんなものがつくれる分、表現の幅が広いので、制限を設けることを大事にしました。いろんな作品をつくりましたが、言葉で説明するよりもぜひ体験してほしいです」

 

【ZINE MARKET部】ZINERS CLUB

Member
石川崇継 / 細萱萌香 / 髙松彩花 / 松吉遼太 / 酒井風 / 名雪ハル / 山口環 / 西山瞭 / 松本彩奈 / 小野薫乃 / 及川るな / 伊祁真凛 / 清野珠央 / 岩井彩音 / 小野ひなた

「ZINEが好き、つくりたい、販売したいという美大生のための部活です。ZINEとい言葉に人を表すERをつけて複数形にしました。そこには部員の紹介冊子も置いています。よかったら手にとってください。個人がつくったZINEは、武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科や絵画学科、空間演出デザイン学科などの学生がつくりました。ZINEを買っていただいた方には、ジントニックかジンジャエールをプレゼントしています」

 

【紙部】

Member
黒瀬光彦 / 小島綾華 / 飯山春風 / 鳴海寿理亜 / 小原範均 / 田村侑加 / 長友真昭 / 千田マミ / 岡本太玖斗 / 浅野木の実 / 三好百花 / 胡哲成

「紙に興味のある12人の美大生が全国から集まって活動しています。6社の加工会社グループ・印刷加工連と一緒に、紙の文具をつくりました。まず最初に工場見学をして、どういう風にできているのかを知ることからはじめて。工場の人と話しながら制作していきました。アイデアもいっぱい出しましたし、スケッチだけじゃなく、プロトタイプも自分たちでつくって、それをもとにまた工場の人たちとも会議したんです」

高田唯さんを顧問に、遠くは岡山から、京都、静岡、石川など、夜行バスに乗ってミーティングに参加するメンバーもいた紙部。展示会場で使った什器も紙にこだわった。好評だった作品は、商品化して、7月の紙博へ出品予定

 

【Fab Makers部】Deli-Craft

Member
大原佑介 / 西村俊亮 / 鈴木灯智 / 林亜琉斗 / 山野夏穂 / 武居杏 / 松井丈 / 宗像里奈

「立川の工房Tschoolと提携して、工房の活性化のために、学生によるものづくりと商品販売を目指しました。今回のテーマは、美大生ならではの独創的なものづくり。そこで、美大生の提案を実際に商品化してみたらどうなるか、という趣旨で進めました。話し合いでアイデアを出したら、工房にあるレーザーカッターやUVプリンターを活用して、みんなで、楽しくものづくりをしました。思いついたことをすぐに制作できる楽しさを、改めて知ることができました」

 

【旅と写真部】myeye

Member
末髙彩乃 / 伊賀さな / 工藤ユリア / 日吉千夏 / 増田まこ / 庄田梨乃 / 髙松彩花 / 梅原健 / 山口珠季

「名前の通り、旅をして、写真を撮っています。この活動で一番大事にしていることは、旅先で見たそのままをZINEのなかに閉じ込めることです。ガイドブックを読むのはいいと思うんですが、お店の販売促進にフォーカスしているものが多くて、実際にまちで見たリアルを伝えたくて、活動しています。これまでに東小金井と沼津で撮影してきました。今回は豊田を散歩してつくった第3号を2Fに展示しています。写真と、Take FreeのZINEも置いてあるので、ぜひ寄ってください。

学校の課題や就職活動で忙しいと、旅をしている暇がないと思うんです。旅に対するハードルは高くなるばかりで、この部活のおかげで旅をすることができました。旅は遊びでもあるんですが、行ったまちのことを知ることができて、それが美大生としての制作のヒントになることも多い。そんな旅の良さを伝えたくて、この活動をしています」

 

【映像部】

Member
髙松彩花 / 佐藤華子

「HAPPENINGSのコンセプトムービーをつくりました。会場で流れているので、見てくれたら嬉しいです。HAPPENINGSは、日頃の授業課題から離れて外でアクションを起こして楽しみたいというような、アクションを大事にしているプログラムだったので、それを可視化できたらいいなと思いました。ハプニングを起こしたり、起こされたりすると、衝撃や変化、現象が生まれます。制作者にとっては制作のヒントが生まれたりする、何かが生まれる起点=ハプニングと考えて、PVにしました。YouTubeにも上がっているので、じっくり見ていただけたら嬉しいです」

 

会場2Fに事務所を構える、女性4人組クリエイティブチームhesoのシルクスクリーン体験も楽しめます。

明日、明後日の芸術祭では、部活の展示に加えて、特別ゲストのトークライブも。
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